【徹底解説】海の塩分って何%?おさかな研究生が塩分について詳しく解説!

「海水の塩分」ってどのくらいなんだろう。

「死海」ってすごい塩分が濃いって聞いたけどどのくらいだろう。

そんな疑問にお答えするため「(元)お魚研究生」が今までに勉強してきたことをまとめてみました!

塩分についてもっと詳しく知りたい方向けに、後半ではより専門的な話についてもまとめているのでみていってください!

海の塩分ってどのくらい??

世界の海の塩濃度

早速ですが、様々な海の塩濃度はこちらです。

%表記実用塩分(psu)
一般的な海3.5 %35
海洋深層水3.5 %35
水族館 (一般的な海水魚水槽)3.0-3.5 %30-35
河口付近1.0-3.0 %10-35
カスピ海1.2 %12
黒海1.7-2.5 %17-25
地中海3.5-3.9 %35-39
死海30 %300
様々な海の塩濃度

特別な環境を除けば、海の塩分はおおよそ3.5%であることが知られています。

これは、全世界同じで深海も変わらず3.5%くらいとされています。

死海の塩分は私たちの周りの海より7倍以上濃いことがわかります。

海の塩分はだいたい3.5%!!

死海の塩分が高いのはなぜ? 塩分が上がる理由について解説!

なぜ死海や地中海の塩濃度が高いかご存知でしょうか?

これは水分が蒸発するはたらきによって濃くなっています。

死海や地中海は陸に囲まれているため、水の量に限りがあります。

そのため水分が水が蒸発することで、だんだんと塩分が上昇していくのです。

タイドビーチのような閉ざされた環境でも実は塩分が濃くなっていることが多いです。

趣味で海水魚飼育をやられている方は、数日経つと塩分が上昇しますよね。あれと一緒です。

塩分が高くなるのは、水が蒸発するから!!

塩分が下がる理由について解説!

川が近くにあると塩分が下がる

塩分が下がる一番の原因は、雨や川の水の流入です。

河口付近や湾内は、雨の影響により塩分が低下しやすいです。

川の水が流れ込んでくる場所では、塩濃度の低下が十分に予想されるのですが、

雨も海水の塩濃度に大きく影響を与えます。

陸上で海水魚の養殖をする場合には、雨の日はとくに注意をしなければなりません。

川や雨の水で海の塩分は低くなる!!

専門的なお話

海水を取り扱う上で塩分はとても重要な要素です。

塩分を正確に測るためには、その特性についてきちんと知っておく必要があります。

ここからはちょっと専門的な話になります。

塩分について研究の歴史は長く、たくさんの文献が出ていますが

実際調べるとなると大変なので、今回まとめてみました。

塩分濃度?塩濃度?どっちが正しいの?

塩分の呼び方についてのお話です。結論から言うと “どっちでもいい” です。

ただし、海洋学の分野では、「塩分」もしくは「塩濃度」とすることが一般的です。

「塩分濃度」って “塩分” が既に濃度のことを言ってるんじゃないの・・・?

という論争がありいろいろあった結果「塩分」もしくは「塩濃度」とする方が多くなっています。

この記事でも、これ以降は塩濃度とさせていただくことにしました。

塩濃度の指標について (ここから先は執筆中です)

塩濃度には「絶対塩分」と「実用塩分」と呼ばれる国際的に定められた基準があります。

UNESCOを中心に決められたこの基準について

ここではそれぞれの特徴と違いについて解説していきたいと思います。

「絶対塩分」は重さを基準にした塩濃度

絶対塩分は「海水1kg中に溶けている物質の総重量(g)」と定義されています。

単位にはg/kgもしくは %。(パーミル)が用いられています。

海水を全て蒸発させて残った物質の重量を計測するのですが、

「正確な物質量を測るのが難しいことや蒸発させるまでに時間がかかる。」という問題がありました。

絶対塩分 (g/kg) = 溶けている物質の重量 (g) / 海水1kg

「実用塩分」は電気伝導度を基準にした塩濃度

実用塩分は「電気伝導度」を用いて計測される塩濃度のことです。

海水の元となっている塩類は、電気を通す性質があり、含まれている濃度によってその値が異なるため

これを基準とすることにしました。

電子式の水温計と同じような感覚で使えるのでとても簡単ですね。

1982年のユネスコの会議によって実用塩分が定められました。

この実用塩分35は35%。となるように設定されているので、大きな差はありません。

また、実用塩分は単位がないのですが、それだと分かりにくいのでpsuと記すことが多いです。

「15℃、1気圧下で1kg中に32.4356gの塩化カリウムを含む溶液と電気電動度が等しい海水の塩分が35psu」と定められています。そのため校正液というと塩化カリウムで作られている場合が多いですね。

実用塩分は電気電動度を元にした指標のこと。海水の組成によって変わる。

参考 : 海水の状態方程式について

塩濃度を計測する際、水圧・温度その他もろもろ・・・は計測データに影響を与えます。

ですが、ここまで行くと専門の範囲外 みたこともない!ので

興味があるかただけ調べてもらえればと思います。

塩分の単位について注意するポイント

塩濃度が何%かと聞かれたら大体3-3.5%です。

何%。(パーミル)もしくは何psuかと聞かれたら35%。、35psuになります(一桁違う)。

恥ずかしながら私も間違えたことがあるので、注意してください。

絶対塩分と実用塩分を換算したい!

残念ながら計算で換算することはできません・・・。

絶対塩分と実用塩分は全く別の指標なのです。

ただし、35%。と35psuはほとんど同じなので、学術的に何かを言う場合以外は一緒とみなして問題ないでしょう。

魚の飼育における塩濃度について

魚の飼育における最適な塩濃度

海水魚の飼育に最も適した塩濃度は35psu付近なのか・・?それはちょっと違います。

魚種にもよりますが、20-30psuの低塩分下で育てた方が成長が良くなることが知られています。

魚類は海水中で浸透圧調整を常に行いながら生活しているのですが、20 psu付近が最も浸透圧にかかるエネルギーが小さくなるからだと言われています。

これは余談なのですが、ファインディング・ニモで有名なクマノミは環境への適応能力が高く

70psu(通常の2倍の濃さ)の海水でも生きていました。

魚は35psu以外でも元気に生活することができる(ただし種類による)。

海水の構成要素

どんな物質が含まれているか (まとめ中)

塩化ナトリウム
塩化マグネシウム
硫酸マグネシウム
塩化カリウム
硫酸ナトリウム
海水に含まれる主な物質

海水にはこんな物質が含まれているんですね。

参考 : 好適環境水について

「好適環境水」が岡山理科大学で開発され話題となっています。

好適環境水は、海水に含まれる物質のうち魚の飼育に必要なものだけを混ぜて作られた海水です。

淡水魚と海水魚が同じ水槽を泳いでいる様子は面白いので

興味のある方はぜひみてみてください。

終わりに

今回は塩分についてまとめてみました!

自分で確認するためにまとめましたが、誰かの役に立てば嬉しいです!

なるべく本や論文で確認しながら作成していますが、誤り等があったら教えていただけると大変助かります。分からないところはお気軽にコメントください。

本ブログでは、全国の水族館についてまとめているので見ていってください!

引用文献

新しい海水の状態方程式と新しい塩分(Reference Composition Salinity) の定義について 河野健: 海の研究 (2010), 19(2), 127-137

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